医療現場におけるコミュニケーション・コーチング
指導者養成講座(基礎編)
2023年7月29日(土曜日)午後5時から7時まで
オンラインにて開催
「患者中心の医療」の重要性が説かれて久しくなります。治療の質の向上に患者の積極的な関与が重要な役割を果たすことは、研究・現場での実践の中で明確になってきましたが、それをどのように引き出し支援していくかに役立つ具体的アプローチについてはあまり周知されていません。今回は、それを可能にする方法として「コミュニケーション」に焦点を当てて、米国の医療現場で行われているコミュニケーション・コーチング(CC)の手法を紹介するとともに、CCを日本の医療現場に取り入れてみようと思っている方々に、CCを提供するスキルを身につける機会にしていただきたいと思っています。
CCでは単なる教示や指導、台詞の提供ではなく、コーチングの基盤となる「協働」のアプローチを駆使しながら、コーチングを受ける相手が自分にあったコミュニケーションの技や工夫を見つけていく過程です。医療現場におけるCCの具体的方法は医療機関によって異なりますが、当事者の診察室やベッドサイドでの診療、看護、ケア場面でのコミュニケーションを直接、コーチが観察し、その直後にコーチング・セッションを行うというのが、一つの方法です。同じ「やりとり」についてコーチと当事者の双方が共有していて、まだ記憶に新しいことから、綿密で具体的な探索ができることが強みです。直接的観察が難しい場合には、当事者の記憶をもとに「やりとり」について提示してもらい、コーチはその状況についていくつかの質問をすることで「やりとり」を明確に具体化した上で、先の方法と同じようなコーチング・セッションを行なっていきます。
患者が持っている疑問や不安をためらうことなく打ち明けられるような信頼関係を築き上げたり、患者が自分なりのやる気を見つけ、自分にあったプランを立てて治療過程に積極的に参加するように支援したりするスキルをCCのアプローチを通して、米国の医療者は身につけていっています。この講座では、理論や技法の説明だけでなく、CCの実際を想定した場面を提示して、具体的な体験を学んでいただく予定です。
参加対象者
医師や看護師、サイコロジストなどで、現場のコミュニケーションに興味があり、その向上支援方法としてコミュニケーション・コーチングについて学び、具体的なコーチングスキルを身につけたい専門家の皆さま
講師プロフィール
近本洋介 PhD, CPXP
獨協医科大学越谷病院小児科に臨床心理士として勤務、早稲田大学大学院博士課程在籍中、1991年に渡米。ペンシルバニア州立大学にて健康教育学の博士号(PhD)を取得。スタンフォード大学、カリフォルニア州立大学、アメリカン大学で行動変容、ヘルスコミュニケーション、健康増進に関する研究、教育に従事。その後、カリフォルニアの統合医療機関であるカイザー・パーマネンテにて患者エクスペリエンス向上を目指す「医師患者間コミュニケーション・プログラム」をリード。ニューヨークに移動し、医学部を中心に7つの大学病院を統括するマウントサイナイ・ヘルスシステムにて医師コミュニケーションセンター長として、患者と医師双方のケアに関わるエクスペリエンス向上に努める。全米の医療機関に幅広く患者エクスペリエンス向上のためのコンサルティングやトレーニングなどを提供する目的で、北カリフォルニアのシリコンバレーにケアリング・アクセント(Caring Accent)を創設し、現在に至る。日本では、患者エクスペリエンスに関する講演(日本心療内科学会やHealth 2.0 Japan、日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会PXフォーラムなど)や、論文・連載・記事(「医学界新聞」「看護管理誌」「交流分析研究」など)の執筆などに取り組んでいる。CPXP: Certified Patient Experience Professional。
開催日時
2023年7月29日(土曜日)午後5時から7時まで
開催場所
オンラインによる開催
参加費
3,000円
申し込み方法
当研究所メールアドレス(ChuoShinriKenkyujo@gmail.com)宛に、参加者氏名、メールアドレス、所属、専門領域を記載してお送りください。 折り返し、振り込み口座などをお知らせいたします。申込の締め切りは7月25日とさせていただきます。 お問い合わせも、上記メールアドレスにご連絡ください。